興味の無い授業も真面目に聞かないとダメですか?【角田陽一郎×加藤昌治】
あんちょこ通信 第9回
■「自分にとって重要な4%」を探してみよう
角田:なぜか僕のお悩みに答えちゃったけれど、元々の質問者さんのお悩みに改めて答えると、どういう回答になるかな。
加藤:まず「無駄なことはありません」「いつ役に立つかは全く分からないけれど、なんらかのアナロジーは必ずあるはずだから、騙されたと思って適当に聞き流すぐらいで向き合ってみたらどうですか」ということかな。その上で、あとになって振り返るための取っ掛りとして、資料なり動画なりを残しておいたほうがいいんじゃないでしょうか。
角田:なるほどね。加えて、この配信の視聴者の方から「つまらない本でも、素晴らしい1行があるだけで読んでよかったと思えることがありますよね」というチャットを頂いたけれど、同じようなことは授業でも言えるよね。
加藤:最近は「神回」みたいな言葉があるけれど、授業でも90分ずっと「神時間」が続くことはあまり無いよね。だから「どこかにあるんだろう」という期待と予想の下で待つ、みたいな感じですかね。
『考具』の中で、インプットの考具として「フォトリーディング(速読)」を紹介してるけれど、なんといっても衝撃を受けたのは、一冊の本の中で今の自分にとって重要な部分は4%ぐらいしかない、という主張。
角田:残りの96%は意味がないってことなの?
加藤:「その時の自分」にとってはね。だから1年後に同じ本を読んだら「違う4%」の重要な部分があるかもね、という話。
でさ、一冊の本の中には、自分にとって重要なところ、4%を探せって云われたこと。これは衝撃だった。
その時まで「本は最初から最後までちゃんと読まないといけない」とずっと信じてたから、「集中するからたくさん読めない」と思ってたわけだよね。でも「たった4%を探せばいいんだ」と思って「この本における、オレ向けの4%はどこ?」みたいに探す感じになったら、ものすごく速くページをめくれるようになった。それから途中で読むのを中断することができるようになった。
角田:面白いね。その言葉、いただいちゃおう。大学の授業90分の4%だと3分ぐらいだね。「僕の90分の授業の中で皆さんの役に立つのは3分ぐらいだから、それを見つけてくれ」と言えばいいんだね。
加藤:さらに「集合知」という概念を取り入れてさ、授業が終わった後に学生に「自分にとっての〝神3分〟」を書いてもらって、それを全員分集めて一つにまとめて次回返すといいよ。
そうすると、学生さんは「全員分の〝神3分〟」が見渡せるじゃない。「俺は頭の3分だったけど、●●くんはここだったんだ」みたいな別の可能性に気付くと、またそこに学びのきっかけが生まれる。「あれ? 自分はスルーしたけど、3人も同じ箇所を挙げてる。そこだけ動画を見返してみようか」みたいなことも起こるかもしれないよね。それだけの工夫で授業がもっと豊かになっていくと思う。
角田:それは面白い。読者の方にとって、この連載の「神パーセント」も高いといいですね。
※第10回へ つづく
文:甲斐荘秀生
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